虹が見えますか
・・・
5合目は十分に涼しくて、すぐ気が付いた。「服、足りない。」
冬服はすべて実家に送ってしまい、スキーの時はババシャツで乗り切っていて
フリースなんて持って無い。
すでに駐車場で渋滞していて、たくさんの人が重装備であふれてた。
降りてくる人たちの顔は汚れて悲壮で、戦場から帰ってきたみたいで、
これから必ず自分にも来る苦痛に恐れ慄きながら、ふらふらと進み始めました。
経験のあるもっくんとすずきちがなぜあんなに笑顔なのか、さっぱりわからない。
さとけんと私は、自ら作り出した不安と恐怖にすでに負けてしまいそうです。
風景は荒涼としていました。
落石防止の堰が、霧の中ところどころに要塞のように現れ
要塞の隙間を、人の列が黙々と進んでいて、服役みたいに見えます。
たぶん多くの人が何かしら思うことがあって、登っている。
歩き始めて5分で頭痛とめまいがするのは毎度のこと。
頭痛の中黙って進むときは毎度、
直近の反省にはじまり、さらに頭痛がすすみ、
どうでもよくなり、何も考えられなくなって、それで良しとしている。
粗い砂の道から溶岩の道になり、草の茂る道になり、岩場になり。
霧が晴れたり、曇ったり、虹がかかったり、空が紅くなったり。
こんにゃくゼリーを与えられ、カントリーマームを与えられ、アンドーナツを与えられ。
ひたすらに前を歩く人の靴を凝視し続けたら、8合目の宿にたどり着きました。
最後は相当しんどかったけれども、カレーのことだけ考えて、なんとか着きました。
美味しかった。あっというまに無くなってしまった。
そういえばふもとの店で食べたお昼のうどんは、えらいまずかったなー